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6. システムのクラスタ化

この章では複数のマシンを接続して一緒に用いるやり方について簡単に触れたいと思います。しかしこれは本来大きなテーマなので、もしかしたら別の HOWTO に分割する方が良いかもしれません。

この頃ではコンピュータは恐るべきスピードで時代遅れになってしまいます。 しかし古いマシンでも Linux で用いてならない理由はありません。少々時代 遅れのコンピュータでもネットワークサーバとして有効に使うことができます し、これは教育的にも価値があります。このようにローカルなネットワークで 接続されたコンピュータの集団は多様な形態をとることが可能ですが、この HOWTO 文書の目的からして、ここではディスクの管理に関してのみを述べたい と思います。筆者は、他の人がこの問題を取り上げて独立した文書にしてくれ ることを期待しています。

この分野は今日活発な議論がされており、クラスタ化には多くの形態が可能に なっています。ローカルなネットワークを介しての自動的な負荷分散がその一 つですし、より魅力的には Scalable Coherent Interface (SCI) といったよ うなハードウェアを用いて、複数のマシンを緊密に連携させ、あたかも一台の マシンのようにすることもできます。大きなマシンに関しては以前から数多く のクラスタ化が可能になっています。有名な例としては VAXcluster などが挙 げられるでしょう。クラスタ化は通常ディスクドライブやプリンタ、端末など の資源を共有するために行われますが、プロセスも資源として計算機ノード間 で透過的に扱うことが可能です。

クラスタ化には特に一般的な定義はありません。ここではユーザに提供する資 源を共有している複数のマシンからなるネットワークを考えることにしましょ う。これは少々緩い定義ですが、後に変更されて行くでしょう。

最近は Linux でもクラスタ化の機能が提供されています。しかしここではま ず簡単なローカルネットの構成から説明を始めたいと思います。古くて、他に は用途の無いようなハードウェアでも、 Linux のような OS で動かせば、必 要な用途に充分役に立てることができます。

古いマシンを利用法としては、ネットワークサーバ、特に演算性能ではなくネッ トワークのバンド幅で律速されているようなサーバが適しています。例えば自 宅では以下のような機能を持ったサーバにすると良いでしょう。

ドライブを NFS サーバからマウントすれば、ワークステーション側でのディ スクを節約することもできます。どのディレクトリをマウントすべきでな いかは、やはり FSSTND を参考にして下さい。全てのマシンで共有すべきディ レクトリの候補としては、 /usr/var/spool などが挙 げられます。

ほとんどの場合は遅いディスクでも充分な性能が得られます。一方、サーバ上 で直接ディスクを扱ったり、ネットワークが非常に高速な場合は構成を考え直 し、速いディスクを使うのが良いでしょう。例えば web サーバの検索機能や ニュースのデータベース検索機能などが当てはまります。

このようなネットワークはシステム管理の学習にも最適で、将来自分でネット ワークを作るときに役に立ちます。この点に関しては他の HOWTO 文書から多 くの情報を得ることができるでしょう。ただし以下のことは気に止めておいて 下さい。

nyx のネットワークはこの文書で意味しているところの『クラスタ化』 を実現しています。

以下のようなマシンがネットに含まれています。

nyx

これはユーザがログインできる二台のマシンのうちのひとつです。 ネットワークサービスも提供しています。

nox(別名 nyx10)

これはユーザが主にログインするマシンで、メール サーバにもなっています。

noc

これは専用のニュースサーバです。ニューススプールは nyx や nox からも NFS マウントできるようになっています。

arachne(別名 www)

web サーバです。 web のページが置かれているディ レクトリは nox が NFS マウントしています。

より進んだクラスタ化に関するプロジェクトも進行中です。注目すべきものと しては以下のようなものが挙げられます。

クラスタ化を押し進めるには、 SCI のような進んだ技術による接続が必要に なります。より情報を求める方には、以下のページが参考になるでしょう。 Dolphin Interconnect Solutions

この会社はこの分野における主役と言って良いでしょう。また scizzl. も参考になるかもしれません。


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